十数年前、海外移住を考えた際に「タイ料理が好きだからタイなら住めそう」と思ったぐらい自称タイ料理好きだった。ガパオ、トムヤムクン、カオマンガイ、パッタイ、グリーンカレー。実際に移住してみたら、当たり前だけど未知の料理だらけだった。そんなことにすら移住してから気づくなんて、我ながら視野が驚くほど狭かったなと思う。移住当初住んでいたイサーン地方、ノンカイの田舎町は、外国人が珍しかったのもあり色んな人が色んなものを食べさせてくれた。「ほらこれ食べたことあるか?」「食べられるか?」と、「外国人は知らないだろう」と思われる食べ物は特に、楽しそうに嬉しそうに勧めてくれる。時にはおもしろがって。「食べられるよ」「おいしいよ」と言うと驚かれ褒められた。ナムプリックにプラートゥー、チャオムも初めて出会ったのはノンカイだった。ナムプリックは唐辛子やニンニク、エシャロット、ナンプラーやエビ味噌(ガピ)やライムなどをすり潰してペースト状にしたもので、ドライタイプもある。種類が豊富で覚えきれない。ディップとして、調味料として、ふりかけ感覚のごはんのお供としても活躍するタイ人が愛して止まないアイテム。プラートゥはそこかしこで丸いカゴに入れられて並んでいた。別名は見たままの「首折れサバ」で、変わった形の魚だと言ったら「小さな丸いカゴに入れるために首を折ってるんだよ」と教えられた。首を折るのは死んでからだろうし、食べる側の私が同情するのはおかしな話だが、容器が優先されることってあるんだな、と少し不憫になったのを覚えている。数十年前のノンカイでは二匹入りが10~20バーツで買えたので、家計にも優しかった。チャオムは最初あまりおいしさがわからなかったけど、気がついたらクセのある風味が大好きになっていた。個人的にタイ料理はこういう、3回目ぐらいで「アレ!? めっちゃおいしいじゃん!」がわりとある。数あるタイ料理の中でもいわゆるローカル料理、「外国人があまり食べなそうなもの」を食べるとタイ人が沸くのは地方でもバンコクでも一緒。ナムプリックプラートゥー弁当も高確率でタイ人が反応する一品なので、おいしい上に楽しい。考えてみたら、海外の人が自国の物を好きと言ったり、美味しいと言ってくれたら嬉しい。ローカル色が強かったりマイナーだと余計にそう感じるかもしれない。外国人が我がソウルフードのきりたんぽを食べておいしいって言ってたら、きっとびっくりするし絶対に笑顔になっちゃうな。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!