もしかしたら下の方もなだらかな斜面が続いていたのかもしれないけれど上からは見えなかったし、確認する勇気もなかった。けれど視界から消えて行くタイ人の子どもたちはとても楽しそうだったから、きっと危険はないのだと思う。それまで見て楽しむものだと思っていた滝に「遊びに行くよ。泳げるよ」と言われた時のワクワクは、ずいぶんと時間が経った今も覚えている。くねくねとした山道を抜けて車を降りると、いい匂いのする煙を吐き出すガイヤーン屋さんや水遊び用のおもちゃを売る屋台が数軒並んでいて、その先の開けた場所には私が想像していた高い所から水が勢いよく落ちてくる滝は無くて、なだらかな斜面を透明な水が滑り落ちてゆく滝があった。その頃にはもうタイの人たちは服のまま泳いだりすることを知っていたので、大人も子どもも服のまま水に浸かって遊んだり何かを食べたり飲んだりしている姿にはあまり驚かなかった。岸からすぐのちょうど良さげな岩に腰掛けて、冷た過ぎなくて心地良い水を服越しに感じながら、さっき買ったガイヤーンをツマミにビールを飲む。そうして人々が楽しげにしている姿を眺める時間は控えめに言っても最高だった。看板がひとつあるぐらいで、柵も手すりも何もない自然の中の天然プール。木々に囲まれた渓流は間違いなく素敵だけど、小さな子どもを連れて入るとなると怖かった。滑って転んで仲良く滑落も怖くてだっこして歩くこともままならなず、タイ人と比べたらへっぴり腰もいいところ。以前ラヨーンの水族館横の岩場でけっこうな高さから海に飛びこんで遊ぶタイ人の子どもたちを見た時も思ったけど、ああいう逞しさを私は忘れてしまった。友だちと自転車で自由に駆け回って、時には川に入ってめだかを捕まえる小学生だった私も、夕方に家に帰りさえすれば我が子はほったらかしだった親もすごいなぁ。自分の親と同じようにやれと言われてもできない自信があるので本当にすごい。時代なのかしら。タイに住んでいてお得だなと思う、国内旅行が海外旅行みたいなところ。景色も食べ物も言葉も、空気や風やそこにいる人たちの楽しみ方も日本とは違っていてなんだかいつも新鮮。そんな中でふだん考えないことを考えたり思い出したりする、こう、感度が上がるような感覚も好き。先日久しぶりの一時帰国をしたら日本も最高だなと改めて思ったし、こうして行き来して両方楽しめるなんてやっぱりとってもお得な気がする。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら