彼女とはWebサイトに載っていたコンドを二軒見に行く約束をしていたけれど、もう一軒に至っては触れもしなかったので「とにかく家がおすすめ」ということが伝わってきた。こういう時なんとなく察して「約束したのにどうして?」などと問わない自分、郷に入ってる感があって嫌いじゃない。「借りられちゃった」方の部屋は「とても古いし良くない」としかめっ面で言うので、「うんうん、とにかく家がおすすめなんだな」と思った。ホームステイしていた時期を除けばアパートやコンドミニアムにしか住んだことがなく、ムーバーン(集合住宅)などの戸建ての物件というのは私にとって敷居が高かった。バンコクでは駅や中心地から遠かったりボロボロだったりしない限り敷地の分だけお値段も高いし、「女子供だけでは危ないのではないか」という不安も少しあった。なので完全に想定外、考えてもいなかった家。家!? みたいな。私に手の届く価格の物件ならそんなに期待はできないのだろうと思っていたら、立地も良く想像よりずっと綺麗で手入れが行き届いていて、外のスペースがとても広くて驚いた。開放感というのだろうか、バンコクに住むようになってから「吹き抜ける風」とは無縁だったのでなつかしささえ感じた。ふと思い出す開けっ放しの玄関、その前の広いスペース。風が通り抜けるように設計された、ノンカイでホームステイしていた一軒家や借りていたアパート。そして今私がいるのは窓を開けっ放しにしておけばエアコンなど必要なさそうなリビング、のんびりくつろげそうな玄関前スペース、その上敷地内で布団やまくらが干し放題の家。キュン。やさしそうなタイ人の大家さん、の旦那さんは日本人だということが引っ越し一週間前に発覚して、その大家さん夫婦は目の前の家に住んでいて、「いつも家にいるから何かあったら大声で呼んで」「子どもを預かったりもできるからね」なんて言ってくれて。よっぽどのことでもない限り「預かってくださーい」とは言わないだろうけど、毎日働きに出る身としては心強いことこの上ない。何かをしようと動き出すとそこから色々とご縁ができて思いもよらなかったことと巡り合い、それが「結果オーライ、上々じゃん」みたいなの、タイに来てからずいぶん経験した。本当にそうなのか私が元々能天気だからそう感じるのかはわからないけど、きっと私も変わったんだろうなとも思う。行動力とか、価値観とか。幸せの定義とかね。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら