タイで暮らすようになってから好きになったことの上位に、 お店の人との何気ないやり取りがある。どちらかというと庶民的なお店の店員さん。あの「お客様」 じゃない距離感がとても好き。私は秋田の片隅にある小さな町で生まれ育ったので、やたらと他人が自分のことを知っているとか、家に帰ると今日どこで何をしていたかを親が知っていたとか、若い頃はその監視されているような環境がとても窮屈だった。今はたまに帰省した際に至るところで声をかけられるのは嫌ではないし、知り合いだからこその好意もたくさん受け取る。みんなとてもあったかい。そしてそれは近しい人だったり、 知り合いだからというのも大きいと思う。当たり前だけど、私がよその国から来た見知らぬ外国人だったらきっと違うだろうなぁ。お店に限らずタイの人たちの距離感は絶妙だなと思う。移住して最初に住んだノンカイでは、外国人はどうしても目立ってしまって知らない人が私の家を知っていたりしたけれど、不思議と嫌悪感は抱かなかった。友人が銀行職員に「あの家は貯金がたくさんある」と言いふらされた時はさすがに 「マジ?」となったけれど。嫌悪感を抱かなかった理由は彼らの根底にある「噂はするけどたいして興味がない」だと思う。名前も知らない他人なのに親戚のようで、世話焼きであれこれ聞くのに実はさほど興味がない。私もあまり他人に興味がないタイプだからなのか、この気安くて絶妙な距離感が私にとってはとても心地良く、ラクちんだ。もしかしたら多少タイ語がわかる程度の外国人だから色々と感じ取れていないだけなのかもしれないけど、それならそれでこの気楽さはラッキーだと思う。お店の人と、その辺の人と、たまたま居合わせた人と。「他人」 と何気ない会話をして笑うのが、タイに来て好きになった。生活圏が変わると当たり前だけど利用するお店が変わる。好きだったあのお店もあの場所ももう気軽には行けなくて、 幾度も言葉を交わした人たちと会えなくなるのはやっぱりさみしい。けれど新しい場所で暮らすようになって数ヵ月、「何にするんだ? ルーック」 と言ってくれる人も、自動で「いつもの」 をくれる人も、通りかかったらニカーッて笑ってくれる人もまたできた。はじめて行った美容院ではタイ語が上手だと店員さんたちに囲まれて、「ค่ะ カ (はい)」と言っただけでおお~! なんて言われて笑ってしまった。新しいこの場所で、お店を開拓するのが楽しい今日この頃です。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら