2012年5月── ウドンターニー空港に降り立った私と長男を、迎えに来てくれたのがピックアップトラックだった。ホームステイ先の人がふたり、座席が一列のピックアップトラックでお迎えに来てくれたので、私と長男とスーツケースは荷台で揺られながら流れていく見慣れない街並みを眺めた。長男はトラックの荷台に乗るのが嬉しそうで、その様子にほっとしたのを覚えている。じわりと汗ばむ湿気を含んだ空気。二時間と少しの荷台ドライブは足とおしりが痛かったのも覚えている。10年も前だからなのか土地柄なのか、ノンカイはピックアップトラックだらけだった。乗用車は多少見かける程度、今私が乗っているようなコンパクトカーなど皆無だった。「タイには日本みたいな軽自動車は売っていないし、売ってても誰も乗らないかも」とホームステイ先のご主人が言っていた。少し暮らしてみるとなるほど、とても便利な車である。乗用車に比べて物も人もたくさん運べて自由度が高い。しかもとても丈夫だ。事故の多いタイでは心強い。事故ったらぺしゃんこになりそうと怯えなくてよさそうだし、ガタガタの道や冠水にも強いだろう。それから、私がタイで初めて運転したのもピックアップトラックだった。買い物の時に便利だから、とホームステイ先のピックアップトラックを必要な時に貸してもらえることになったのだ。トラックを運転するのも初めて、マニュアル車に関しては15年ぶりの運転だった。ありがたく貸してもらったけれど、見事なエンストを何度かやらかしてちょっと恥ずかしかった。人間はラク(オートマ)に慣れると退化する。ピックアップトラックはソンクラーンでも大活躍。水の入ったポリタンクと人を荷台に乗せてゆっくりと街を行き交い、道行く人やバイクや対向車の人たちと水をかけ合う。スピーカーから流れる爆音も相まって、さながら移動式クラブのよう。バンコクに引っ越してからは見かけなくなった風景だったけれど、パタヤで初めてのソンクラーンはまさにピックアップトラックが主役で、そうそうこの感じ、って懐かしさを覚えた。日本にいた時は見かけなかったピックアップトラック。車には全然興味がないけれど、毎日何台も見かけるようになるとだんだんかっこよく見えてくるから不思議。力強いし頼りになりそう、みたいな、人間で言うならマッチョというところだろうか。舐められなさそうである。いつかまたちょっとだけ運転してみたいな。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら