会社では特に丁寧に洗っている自覚はある。備品の食器用洗剤があまり好きではないのと、「これでシンクも洗ってるだろうな」と予想されるスポンジを使っていることで濯ぎが入念になる。自覚はあるので急いでいるしひとり分なのでたいした時間ではないはずだけど、彼らから見たら度を越しているのかも。タイで最初に住んだホームステイ先のご主人が「タイ人はね、京都人みたいなんですよ」と言っていた。その真意は「にこにこしているからと言って必ずしも好意的ではない」ということであった。タイ人は他人に対して興味はないけどもどんな人かをしっかり見ているので、敬意がないと表面的な好意しか受け取れないよ、と。ご主人が言った意味合いとは異なるけれど、タイ人と交わすやり取りで繰り出される切れ味のよい言葉たちもいわゆる「ネタにされる京都人」に通ずるものがあるなぁと思う。京都あるあると言われるあの「元気でよろしおすなぁ(五月蠅い)」のような言葉。私はわりと言葉をそのまま受け止めてしまうので、ありがとう~なんて反応をしてしまうけどそこはしっかり突っ込まれる。そんなやり取りはもちろん日本人同士でもあるのだけれど、日本とは仲の良さとの比例具合が少し違う。私はタイの人たちのこの絶妙な距離感が嫌いではない、というかおもしろい。みんなで手洗い場の掃除をしていた時、鏡に水をかけていたら隣にいたスタッフに突然「ありがとう」と言われて、掃除に対してだろうか? などと思いながら「なんで?」と聞いたら「水がかかった」という言葉が返ってきて焦って謝ったこともある。それまで和やかに雑談していて、ふいに質問をしたら真顔で「なんで言わなきゃいけないの」とか。その後すぐに冗談だよー! ってみんなで笑う。もちろん(たぶん)冗談で言っているというのは伝わるし、タイ人同士の会話を聞いていても厳しいことを言って笑っているから、毒舌スタイルとでも言うのだろうか、こういうのが好きなんだろうな。そして自虐はあれど他人の見た目などを嘲笑する毒舌ではないところが個人的にとても好き。タイ人に裏のある言葉を言われる度に、ご主人が言った「タイ人はね、京都人みたいなんですよ」という言葉を思い出して笑ってしまう。京都は旅行でしか行ったことがなく京都人の知り合いもいないけれど、昔から京都弁もとい京都人に憧れている私としては、タイで京都が体感できるなんてチョークディー(幸運)なのである。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら