さっきまで暗かった目の前が急に白い光に包まれ、眩しさを覚えた。大声で名前を連呼されていた彼は乗客たちに抱えられ、いつの間にか用意されていた車椅子に座らされ、消え入るような声で「Sorry」と言った。意識が戻って何よりだった。場所柄乗客は外国人が多数を占めていたけれど、その連携プレーはなかなかのもので、瞬時にみんなで助けに入るのはタイの人たちだけではないんだなぁ、などと感心をしてしまった。誰かが倒れたりしたら周りがサッと動く。楽な姿勢にしてくれる人、水などを用意してくれる人、ヤードムを差し出す人、扇いでくれる人などが湧くように現れるタイ。ヤードムが重宝されるのがなんともタイ。その見事な瞬発力と居合わせた他人同士の連携プレーに思わず目を奪われる。などとのたまう、オロオロするだけの私。大声でマイキーに呼びかけつつ、周囲に「彼さっきちょっとだけWeed(大麻)を吸っちゃったのよ」とテヘペロする連れのタイ人女性、甘いものを食べさせろと言い続けるタイ人女性、即座にペットボトルの水をぶっかけるファランカップルの男性と、おそらく英語圏出身ではないがために悪意なく「Go home!!」と声をかける女性。大声で病院へ誘導するソンテオの乗務員さんに、ずぶ濡れの友人。ワーワーしながらもソンテオは途中で乗客を入れ替えながらあれよあれよと病院へと吸い込まれ、私は激流に身を任せる木の葉のようで、ただただ全てに圧倒されていた。そういえば数年前、私も職場で貧血をおこし倒れたことがある。気がつくと床に敷かれた誰かのストールの上に横たわり毛布をかけられ、お菓子とパパイヤが供えられていた。あの時もタイ人スタッフに甘いものを食べるように言われたことを思い出した。血糖値を上げろということなんだろうけど、あまり日本では一般的ではない対処のような気がする。タイでは「倒れたら甘いものを食べる」なんだろうか。あの疾走するソンテオに実際どのくらいの時間乗っていたのかはわからないけれど、気がついたら病院で「すごい」の一言だった。私も彼らのようにサッと動ける人になりたいなと思うと同時に、みんなの勢いがすごすぎてどこで入ったらいいか全然わからなかったなと、少し呆けながら思った。それにしても改めてお酒でも何でもほどほどが良いなと思った出来事。今年も残すところわずかとなりましたが、皆様もやらかしに気をつけつつハッピーな新年をお迎えください。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら