タイは食べろ食べろとすごく言われる国だなぁ、と思う。特にノンカイでは、大家さんや知人に誘われてそのまた知人友人、やたら大勢で食卓ならぬゴザを囲む機会が多かった。基本家のドアは開けっ放しになっているし、外で食べることも多いので通りかかると呼ばれる。呼びにも来る。ゴザいっぱいに並ぶおかずとお酒。みんなでワイワイするのが好きというのもあるんだろう。思い返すとご馳走になってばかりの日々だった。食事の時間も自由で、正に食べたいものを食べたい時に食べるといった感じだった。朝ごはんやお昼ごはんの後しばらくするとソムタムやコームーヤーン、ルークチンなんかを買って来て、例え「さっきごはんを食べてしまった」と言ってもまぁ座って食べろと言われる。そしておなかが空いていなくても美味しいから困る。子どもたちをタイの私立校へ通わせていた頃、タイの給食に興味があって「今日は何食べたの?」と時々聞いていた。グリーンカレーやカオマンガイといったタイならではの料理が出てくるのがちょっと羨ましかったし、長男の言う「〇回おかわりをした」の〇の中の数字にびっくりしたりもした。食べ過ぎじゃないかと言ったら「先生が食べろと言った」と返ってくる。それを聞いて「言いそうだな」と思う私。うん、絶対言う。太っていると「よく食べるだろう」と決めつけられ、もっと食べろと言われる。我が家の場合間違ってもいないのだが、日本とはちょっと感覚が違うなと思う。私の母は長男が太っていることをとても気にしていて、もちろん健康面を心配してくれているのだけれど、電話で話す度に「痩せさせろ」と言う。あまり食べさせるな、もっと運動させなさい。ごもっともすぎて耳が痛い。耳は痛いけど「足りない」「もっと食べたい」と言われて食べさせないのは「かわいそう」と思ってしまう私はタイ人寄りになってきているのかもしれない。そんな母も帰省するといつも長男が好きなものを用意してくれているし、あれこれ食べろと言う。きっと多くの人が経験している帰省あるある。タイの人たちを「なんか親戚の人みたい」と感じる所以でもある。共通しているのは、そう言う人たちはみんなすごく笑顔なこと。たしかに「美味しい」と言って食べる子は人は、眺めているだけで微笑ましい。食べろ食べろって言う側の方が幸せなのかもしれない。言われる方も美味しいし、つまりみんなで幸せになる魔法の言葉なんじゃないだろうか。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら