私にとって美容院のシャンプーはカットやカラーのついでにされるもので、メニューにあるのは知っていたけど利用したことはなかった。なので誘われた時も「シャンプーだけしに行くの?」とは思ったけど、30バーツという驚きの価格と、タイ人が好んで利用するというサッポムへの興味から喜んで参戦した。バンコクに越してきたばかりの頃はカット200バーツほどのローカルのお手頃美容院を適当に選んでいたけど、満足のいくカットをしてもらえることはなく、シャンプーもガリゴリササッと済まされた。200バーツなので不満はなかった。でもせっかく美容院に行くなら綺麗にカットしてもらって鏡を見ながら悦に入りたい。そう思って近所にあったおしゃれな外観の美容院へ飛び込んでみた。カット代は500バーツ。カット前のシャンプー、その後の軽い肩マッサージで30分近くかかった。後にわかったが他店より長めである。指圧強めのシャンプーをしっかり二回、トリートメントの時は頭皮の他にこめかみや首もマッサージしてくれる。水シャワーも慣れると逆に気持ちいい。カットにヘッドスパがついてくるとか最高では? と、私はすっかりタイの美容院のシャンプーが気に入って、以来「カットしに行く=シャンプーしてもらえる!」とシャンプーを楽しみに美容院に行くようになった。ちなみに私の統計上、そういったお店の美容師さんの爪は短い。頭皮が傷つくリスクを考えたら爪は短い方が絶対にいい。何より指の腹でしっかりシャンプーしてもらう方が気持ちが良い。というか別物である。やっぱりストレートアイロンは必須だが、お店のおしゃれさが増すと器用に素敵なカールを作りセットしてマダームにしてくれる。「ストレートアイロンはカールも作れる」という新しい知見を得た。カットの技術も申し分ない。総合的に見て都会の美容院の方が素晴らしい。けれど時々思い出す、ノンカイで体験した初めてのサッポムは違う意味でとても良かった。エアコンの効いた美容室を出てまだ慣れないタイの暑さの中で立ち止まると、さっきまで首にまとわりつくように感じていた風が爽やかにスーッと頭部を吹き抜けていく。どこまでも広い青い空とむせかえるような緑。木々の立ち並ぶ田舎道の先を牛がゆっくりと歩いていた。あの時あの場所でしか味わえなかった思い出は宝箱のようで、それを抱きしめながらヘッドスパのようなシャンプーを堪能しています。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら