欲しい物を売っている屋台を見かけて足を止める。が、店員さんが見当たらない。トイレかな? そんな経験はないだろうか。少し待ってでも欲しいなと立ち止まっていると隣のお店や屋台から店員さんがやって来てその商品を売ってくれる、ということも、きっとタイの屋台で買い物をする人にとってはあるあるだ。袋に入って並んでいても値段が書いていないこともあるので、助けに来てくれたものの「これいくらだ?」なんて始まって、隣のお店の前でのんびり座ってるおっちゃんが「20だぞ」って教えてくれたりして。量り売りの秤には乗せたけど値段がわからず、顔を見合わせて笑っているうちにお店の人が戻ってきたりして。そんなタイだなぁと感じるひとコマがとても好きです。なんとかするというか、なんとかなるというか。何よりとてもほっこりする。勝手のわからない他人のお店で代わりに物を売ったりお金のやり取りをしたり。仕事の手順や商品の価格を把握していたら別だけど、タイの人たちのように「よくわかんないけどとりあえずやってあげよう」と、考えるより先に体が動かせるかと問われたら「全く自信がないです」と答えるより他ない。「間違うことは悪」みたいな風潮の中で育ったことも影響しているのか、自分ひとりのことなら平気なのに、周りに影響が出るとなると危うきには近づかない君子になる。正解はひとつではないし、全てではないにしろ間違っても挽回できる。とりあえずやってみたらなんだか奇跡的に予定よりいい感じになることだってゼロではない。きっとマニュアルに沿って正しい手順で物事を進めるのが一番なんだろうけど、安全や命が脅かされること以外は臨機応変にトライしてもいいんじゃないかなぁと、頭ではわかっていても行動できるかはまた別で。そして誰かの好意を受け取る側もあっさりしているタイの人たち。「ああ~! いいですいいですすみません」といった遠慮や、「ああ~! 勝手に触らないで~!」という不安の無いスムーズなギブアンドテイク。育ってきた環境が違うと本当に色々と違って、その器に憧れすら抱く私。ちなみにセブンの制服を着ていたお姉さんは、その後私服で毎日ムーヤーン屋台の店頭に立つようになった。お、今後はふたりで仕事をすることにしたのかな。セブンは辞めちゃったんだろうか。そんな風に勝手に想像して、このゆるい感じがタイっぽいなぁと、ふたりになった店員さんを微笑みながら眺めている。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら