日本では、目安として5~6ヵ月から始めることを推奨されている離乳食。多少の差はあれどおそらくどこの国もだいたい似たようなものだろう、という根拠のない思い込みがあった私は、ついこの間この世に生まれ落ちた赤子にバナナを食べさせろと言われ心底驚いてしまった。「離乳食」と聞いて頭に浮かぶ、ベビーチェアに鎮座する乳幼児と生後一ヵ月の我が子がリンクしなかった。インターネットの世界を覗けば、国連の機関である世界保健機構(WHO)では「母乳だけでは栄養が足りなくなってくる生後6ヵ月から離乳食を開始する」ことを推奨していて、「特にこの食品から離乳食を始めなくてはいけない」という指針はないということが書かれている。国ごとでも違いがあるはず、と思ってはいた。昔読んだ大好きなフランス移住エッセイ漫画では、フランスでは妊婦さんもハイヒール、へそ出しなど好きな恰好をするし、タバコも吸う。「ストレスが一番良くないのでなるべく普段通りの生活をする」と紹介されていた。「我慢が一番よくない」というの、日本と真逆だなと思うと同時に、「海外って楽しそうだなぁ」と思ったのを覚えている。のちに海外移住を決行するとは夢にも思っていなかった頃。とは言え、直面したタイの離乳食事情は私の認識と違いすぎた。おかゆとバナナという違いは受け入れられても、離乳食を始める月齢となるとそうはいかなかった。5人の子どもを産んだ義母もタイ人夫と同じことを言っていたので、実際彼女はそうやって子どもを育ててきたのだろうし物理的に可能なはずだ。生後一ヵ月であろうとバナナを食べさせたら食べるのだろう。だろうけど、どうしても不安の方が勝ってしまった。タイの産休は90日と短く、フルに使わず産後すぐに職場復帰する人もいる。そういった場合はたいてい子どもは祖父母に預ける。田舎は特に「両親が都会で働き、子どもは祖父母が面倒を見る」というケースも多い。そしておむつやミルクも高級品だと思う。ノンカイではよく下半身が素っ裸の小さな子どもを見かけた。離乳食を始めるのがずいぶんと早いのは、こういった背景も関係あるのかもしれない。そうやって視点を少し変えると違って見えてくる。拒否して終わるのではなく理解しようとすることはとても大事だなと思う異国生活。そう思えたのは後からで、「ありえない!」と切り捨ててしまったことを反省している。バナナを食べさせなかったことは後悔していない。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら