弊社のタイムカードの時刻はなぜかだんだん早くなってしまって、たまに戻すのだけど今は2分ズレている。PCの時計が17時28分になると、タイムカードの機械から電子音の「エリーゼのために」が流れ出す。ティーラーリーラーの“ティ”が鳴った瞬間にタイ人スタッフが立ち上がり、「サヨナラカー」「サヨナラカップ」と事務所に向かって挨拶をして蜘蛛の子を散らすように帰っていく。チャイムが鳴る前から帰る準備はバッチリなのだ。あんまり早くてつい笑ってしまう。お昼寝したい人たちは、10時と15時の休憩時間にささっとごはんを食べ、お昼休みはまるっと一時間作業場の床に転がって寝たり動画を観たりのんびり過ごす。「静かだと眠くなるから」と仕事中はラジオをかけている。「作業中飴ぐらいは食べてもいいけど、ロッカーにしまっておくように」というボスの命令は、言われた直後は守られるけど気がつくと作業机にキャンディ用ボックスが鎮座している。おしゃべりがうるさいと注意されるとしばらくは静かになる。「黙ってたら眠くなってしまう」とたまに愚痴をこぼし、忘れた頃にまた怒られる。以前ボスが「仕事中にあくびをするのは集中していない証拠だ」とスタッフに注意したことがある。タイ人スタッフはわかりましたと言ったけど、その後こっそり私に「あくびは生理現象なんだから、集中してるかどうかとは関係ないでしょう?」と言うので目から鱗が落ちた。「日本人は、本当にがんばっているかどうかより、がんばってるように見えることが大事なの?」と聞かれた時は思わず笑った。本当に、タイの人たちの洞察力は侮れない。タイ人は仕事でもプライベートでも楽しみ上手だなと思う。楽しみ上手というか、サバーイ上手というか。仕事はつらく大変なものであれ。ではない。まじめ。というのは楽しまないということではない。そんな感じ。それで、ちゃんと働かないのかと言えば仕事はしっかりしてくれるのだ。賛否両論ありそうだけど少なくとも弊社ではそう。なんなら小うるさいことを言う人がいない時の方が仕事の効率が上がる。居心地は良い方がいい。機嫌の良い人といるのもそう。巡り巡って周りも影響される。そういうのがプラスに働くのを知っているから、業務に支障のない快適さなら歓迎したいなと思うし、私もそういう働き方や生き方がいいな。郷に入っては郷に従ってサバーイしたい。せっかくタイランドにいるんだし。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら