プラカノン運河の雰囲気が好き。目に映る川沿いの人々の暮らしはスクンビット通りのそれとはちょっと雰囲気が違う。東洋のベニスと呼ばれた頃のバンコクは知らないけれど、きっとその頃の面影が残っているんじゃないだろうか。そんなノスタルジーが溢れてる。水上マーケットにありそうなボートのコーヒー屋さんは“在る”だけで魅力的。いつも思うのだけど、好きな眺めとのセットならインスタントコーヒーだって極上の味だ。1月の風は少し肌寒くて、温かいコーヒーが飲みたかった。結果飲めたし、さすがだなと思った。私がおじさんだったらホットコーヒーはできないと謝っていただろう。このタイ人の“臨機応変力”、あるものでなんとかする力みたいなのは本当にすごい。自分には到底思いつかないことだったりして感心してしまう。ものすごく熱い缶になるべく触れないよう、コンデンスミルクでベタベタの切りっぱなしのフタを持って予想よりもずいぶんと甘いコーヒーを啜りながら、ノンカイにいた時のタイ人夫のことを思い出した。お世話になったホームステイ先から隣町のアパートに引っ越した私たちの、目下の悩みは変圧器がないことだった。日本から持って来たニンテンドーDS(以下、DS)の充電器はタイの電圧に対応しておらず、ホームステイ先のご主人が日本から買って来たという変圧器を借りて充電していたが、引っ越しにより充電不可能に。タイのド田舎で変圧器など売っているのか、売っているとしたらどこなのか。知らないだろうとは思いつつ、当時まだ夫ではなかった彼に聞くと予想通り「知らない」という返事が返ってきた。DSの充電は諦めるしかないかなと思っていたら、ちょっと実家に行ってくると言って出て行った彼が出刃包丁を持って登場。もう片方の手には携帯電話の充電器。「もう使ってない充電器だから」と言うと、彼は携帯の充電器のコードとDSの充電器のコードを出刃包丁でうまいこと切断し、中の銅線同士をくっつけて絶縁テープで巻いてカスタム充電器を作った【※】。タイの携帯の充電器の先にDS用のプラグがついた充電器。解決の仕方が私の想像の範疇を越えていたのでめちゃくちゃ驚いた。通電テストを終えた充電器は問題なく使えたけど、いやほんとすごすぎでしょうと、掌の上でコードの外装を切ったために血が滴る彼の手を見ながら思った。不便を不便と感じるか否かは自分次第なんだろうな。タイの人を見習える日は来ない気がするけど、心構えだけでも、と思う。【※よい子のみんなはゼッタイにマネしないでください!】「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら