美容院といえば、ただ座ってパートナーを待つ男性や終わったと連絡を受けたら迎えに来て支払いをする男性を何度か見かけたことがある。美容院はひとりで行くところだと思っていたのでとても新鮮だった。すごいな、とは思ったけど、正直美容院はひとりで行きたいし買い物もひとりでゆっくりしたい。つき合わせるのに気を遣ってしまうというのも大きい。でもきっとタイの人たちには彼らの当たり前があって、どこにでも一緒に行くのが呼吸のようにふつうのことで、つき合わせてごめんなんて謝ったりもしないんだろうな、などと妄想する。 男性は特に、パートナーの通院の付き添いで仕事を休むのも当たり前。連れていく、送り迎えをする、彼らにとって仕事よりも大事な用事。銀行や車関係の私用だったりに一緒に行く人もいる。そんな時ももちろん謝ったりなんてしなくて、本当にお国変わればだよなぁと思う。学校の送迎も夫婦揃ってする人たちもいるんだよね。きっとそのままパートナーを職場に送っていくのだろうけれど、朝なんて特に時間が無いし「出勤は各自」「子どもの送迎はどちらかひとりがする」という感覚だったから、なんだか微笑ましく映る。 そんなタイランドで私が一番驚いたのは、タイ東北部ノンカイで出産した時の妊婦検診。ノンカイの国立病院の妊婦検診は集団で行われ、故に何時間もかかるのだけど、平日に行われる妊婦検診にひとりで来ている妊婦さんがほとんどいない。パートナー同伴が当たり前だった。タイ人夫も付き添ってくれたけど、最初その申し出を「過保護だなぁ」なんて思ってしまった私があの場所ではマイノリティであった。私は日本でも出産経験があるけれど、通っていた産婦人科にパートナーと一緒に来ている人はほとんどいなかったし、私もいつも当たり前のようにひとりだった。「パートナーが仕事を休んでまで付き添う」という感覚を持ち合わせていなかった。ふたりの子どもなのに。 勤務先のタイ人スタッフにおつかいを頼むと「交通費は自分たちで払うから誰かを連れていっていいか」と言う。カップルで面接に来るのもわりとあるあるで、全く理解はできないけどなんだかかわいいなと思ってしまう。気分は管理者というよりお母さんである。タイ人はさみしがり屋だと思う。そしてなんだか寄り添って生きている気がする。家族や大切な人のことを自分事にする。私たちもきっとそうなんだけど、私たちのそれとは少し温度が違う気がしてる。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら