恥ずかしながら私は、移住するまでタイは南半球または赤道直下の国だと思っていた(本当に恥ずかしい)。国全体が365日暑くて一年中夏服なのだと思っていた。ろくな下調べもせず勢いだけで移住した5月のタイはとても暑くて、慣れない湿気と強い日差しは想像していた通りの南国。そんな南国は年末に近づくと急に寒くなった。陽の出ている昼間は暖かいのだけど、朝と夜がとにかく寒い。冷蔵庫の中ですか? みたいな気温。涼しさを追求した隙間だらけの風通しの良い家、驚くほどひんやりとしたタイルの床。暖房器具などもちろん無く、はじめて自分で借りたアパートは給湯器も無かった。タイ人は陽のあるうちにシャワーを浴びていたけれど、私はできれば寝る前に浴びたくて、腹筋に力を入れ気合いで水シャワーにチャレンジしていたら長男が泣いたので鍋で沸かしたお湯をタライに張るようになった。あったかくて感動した。冬が近づくとテスコロータスに並ぶ毛糸の帽子や手袋を、「いや要らないでしょ(笑)」と笑ったことを大いに反省したのを覚えている。無知は罪なり。ごめんなさい。冷え性の私にはタイルの床が一番きつかった。足が床についた瞬間冷気が体を突き抜けていく。もこもこ靴下のない生活など考えられなかったし、なるべく足を床につけないようにしていた。電気カーペットが恋しかった。驚いたのは「厚着なのに足元はサンダル」のタイ人が少なくなかったこと。バンコクとは違って、制服を着る職業の人以外で靴やスニーカーを履いている人を見かけることはほとんどなかったノンカイ。どんなに寒くてもサンダルというのは恐れ入ったし、見ているだけで冷気が体を突き抜けた。北部では冬に凍死する人もいると聞いて、「そうだろうな」と思った。タイ東北部に移住していなかったら、「あり得ないでしょ」と思ってしまった気がする。この人たちは見た目や防寒よりも快適さが重要なのかな、と思った。ここに見た目を持ち出す私の心が汚れている可能性も高い。寒いことは快適じゃないとも思ってしまうけど、彼らの生活を見ていたら裸足での暮らしが当たり前という感じがしたし、だからきっとその当たり前を変えるのは快適ではないんじゃないかな。ちょっとしたことなら裸足のまま外に出てそのまま家に戻るとか、靴下を履いてたらできないしね。なんて理解のある人を装いながら、その外を歩いた足でベッドに入られるのいやだなぁって毎日ベッドをコロコロしていたのは内緒です。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら