タイの人たちはわりとフランクに容姿についてあれこれ言う。気がする。どういう関係かももちろんあるけど、そこそこ他人でも太ってるだの痩せてるだのニキビが白髪がとか気軽に言っちゃう。タイに来たばかりの頃「太っている」という意味の「ウワン」があだ名の子や、肌が黒いから「ダムダム(ダム=黒)」なんてあだ名の人がいることにとても驚いたけど、それを本人も気にしていない様子や、その名前を呼ぶ声からも侮蔑のようなものは感じられなくて、「なんだかタイってすごいな」と思った。外見のことを言うのは良くない、とは私も思う。けなすのはもちろんのこと、褒めているつもりでも失礼な場合もたくさんある。けれどタイ人のそれは悪意ではないし、おせっかいさも相まってあーだこーだアドバイスしたりなんかして、世界基準がどうあれタイの人たちはこれでいいんじゃないかな、なんて思ってしまうのだ。ウワン!と言いながら長男のおなかや腕をつまんで来る人の目や声のトーンに、「なんて失礼な!」とはならない私がいる。「たくさんごはんを食べるんだろう」と笑顔で言われると、「そうなんだよ」と笑顔で返してしまう。「ウワンじゃないよ! プンプイ(ぽっちゃり)だよ!」って言い返すこともたまにあるけどね。だってとてもかわいいからね。以前も書いたことがあるけれど(ゆるぬり第9回)、反面タイの人たちは自分も他人もよく褒める。そして褒められたら「そうだよ」と笑う。すっぴんでも美人だと言われたり、ちょっとタイ語を話すと上手だタイ人みたいだと褒められ、素直に受け取れるようになるといつしか謙遜なんて逆に相手に失礼だと思うようになる。褒められると褒めたくなってハッピーがループする素晴らしき世界。私よりだいぶ年配な人も自由に好きな格好をしていたり、顔がニキビだらけの男子がドアップのキメ顔をインスタに載せたり、アメリカンサイズの女子がミニスカートで出社したりするのを見かけるとすごくすごくいいなぁって思う。バカにされたり嘲笑されたりする環境ではきっとできないことだから。正直健康面は少し心配だけれど、ぼくかわいいでしょ? と言う長男に安心する。太っていることを気にして悩んだり、心無い視線や言葉に傷ついて自信を無くしてしまう環境ではないのだと。親である私以外からも「かわいい」を受け取っているんだろうなって、うれしくもなる。私も、目の前の人にかける言葉に愛を込めていきたいなって、そう思う。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら