生徒が登下校する時間を狙って屋台が並び、毎日が縁日みたいな学校前の通りに驚いたのは、ノンカイに移住した10年前のこと。おかしやジュースを片手に登校してくる子どもたち。その様子を見てどうやら日本の外では必ずしも「買い食い=悪いこと」という訳ではないことを知った。タイの学校ではおこづかいを持って来るのが普通で、それどころか個人間で私物の食べ物や文房具などの売り買いもあると聞き、タイ人の逞しさみたいなものは幼少期から培われているのだろうなと感心もした。とは言え当時3歳の、10バーツコインを見せたら「five dollars?」などと答える幼児におこづかいを持たせるのが不安だった私は「送り迎えの時におやつを買ってあげる」スタイルに。結果、「お金がなくてかわいそうな子」であるところの長男は、時々もらったお菓子やお金を持ち帰るようになった。嗚呼施しの国タイランド。持たせていないはずの5バーツをくれたのは誰かと聞いたら「Teacher」などという答えが返ってくる。私にはもう未知の世界だったし、すぐにおこづかいを導入した。「スポーツ大会とかで一位になったら校長先生から賞金が出る」という、中学生のお子さんがいる知人の話も驚いたけれど、なんだか現実的というかタイらしいなと思った。ついでに言うと太めで足の遅い長男は、スポーツ大会に出場したこともなければイベントのステージで踊ったこともない。晴れ舞台に立つ生徒は先生が選出するからだ。優れた者のみが活躍する。優れた成績を収めたら賞金や商品がもらえる。できる子は褒められ、できない子は放っておかれる。教育として正しいのか? 不公平ではないか? と言われると正直わからないけど、ヤル気には繋がるのだろうなと、オレオを何度もゲットしたことを誇らしげに語る次男の顔を見て思う。まさに現実的というか、不公平で実力主義な実社会を子どもの頃から経験しているようなものではないだろうか。つい先日。「Ruler(定規)がなくなった」と言う次男に新しいのを買わないとねと言いかけたら、続けて「Teacher が New one buyしたよ!」と言っていて、「先生が買ってくれたんだぁ! よかったね!」とすんなり受け入れる自分にも少し驚いて、少し笑った。タイに来たばかりの私なら、先生にお金を払いに行ったかもしれない。環境ってすごいねぇ。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら