日本に帰国するのが5年ぶりだったとはいえ、大人なのに切符が買えなくなるなんて自分のポンコツぶりに驚きもしたし情けなくもあった。バンコクはわりと日本語に触れる機会があるけれど、情報が全て日本語という状態から離れてずいぶん経ったせいか、日本に滞在していると目や耳から入ってくる解像度の高い情報の量に圧倒される。接客業の人たちの丁寧な対応に、すごいなぁと感心すると共に「もっと適当でいいですよ…そんなにかしこまらないで…ちょっと座ってもいいんじゃないですか?」となってしまう。浦島太郎状態ってこういうことなんでしょうか。自分の感覚が以前と変わって、当たり前だったことが当たり前でなくなる感じ。日本でのやらかし話は聞くのも話すのも楽しいし(道路での飛び出しは危ないので絶対にやめましょう)、違うっておもしろいなって思う。違う文化を両方知っているからこそのおもしろさというか。両方知っているからこそ双方の良いところを再確認することもあるし。経験というものは人生に深みを与えてくれるんだわ、なんてポンコツのくせに感慨深くなってみたりする。私はもうあんまり感じなくなったけど、タイは不便なんだろうなと思う。私たちにとっての第一言語が通じないというだけで日本ではなんてことのない所用のハードルも上がるし、日本のような痒い所に手が届く商品やサービスはなかなかお目にかかれない。とはいえ私はその不便さも嫌いではないのだけれど。不便故になんだかうまくいかなくて困ってる人がいたらあーだこーだ周りが自然と口出しするタイが好き。日本の自販機やコーヒーマシーンに貼られたたくさんのテプラを見ながら、そんなことを思った。気がつけばタイに来て10年。元々適当だった性格には磨きがかかり、食べ物の好みも変わったし、マイペンライを言われた数だけ強くなって多少のことでは動じなくなり、思い通りにいかないことに腹を立てることも少なくなった。朝の屋台で楽しそうに笑うおばちゃんを見てるだけで元気になるし、バイタク大好きだし、家事の外注なしでは暮らしていけないし思い立ったら南国のビーチに行きたい。そしてやっぱり、たまには大好きな日本の家族や友人に会いたい。日本に住んでいた頃から少し変わった自分を日本に連れて行くのは楽しい。目に映る色んな物や人に感じる懐かしさと新鮮さ。以前とはちょっと違う感覚を満喫しつつ、あるあるネタやないないネタを増やしてタイ在住者と語らいたい。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら