タイに移住してすぐ、「ん?」と思ったのが最初だったと思う。ふらっと出かけたホームステイ先の大家さんが、豚肉ともち米を買ってきて「食べる?」と誘ってくれた時。朝ごはんも昼ごはんも一緒に食べた後の、午後3時。私の頭に浮かんだのは「これは何ごはんだろう?」だった。それは私にとって「食事」のメニューだったので、いわゆるおやつの時間に食べることに違和感を感じたのだ。職場では「お昼休みはがっつり寝る」ために10時や3時の休憩時間に食事をするスタッフもいる。毎日ではなくて、日による。その日どうしたいかで決まる。「3時に食べたら夜ごはんはどうするの?」と聞いたら、「夜ごはんも食べる」と言っていた。彼らの基本は「食べたい時に、食べたいものを、食べたい人が食べる」。自炊をあまりしないことも大きいだろうけど、よほどのことがない限り食べたくないものを我慢して食べたり食べさせたりしないと思う。長男の話では、学校でもいわゆる食育的な指導はない。「〇〇は体に良い」と言うタイ人はいるが、「食べさせなければいけない」と言う人はあまりいない気がする。子ども時代の私は、家でも学校でも苦手なものを残すことが許されない時はがんばって飲み込んでいた。保育園の担任の先生は特に厳しくて、時間内に食べきれないと昼休みは他の子が遊んでいる傍ら廊下で正座して居残り給食だった。食事のバランスはとても大事なので、「厳しさ」は「愛情」だった。そんな中で育った私も、栄養バランスは良い方がいいと思っている。けれど、例えば子どもたちに野菜を食べてほしいという願望はあっても無理には食べさせない。食べなよ~! と言っては断られている。自分が子どもの頃野菜が苦手で今は好きなので味覚は変わるとも思っているし、実際長男は自然と食べるようになった。おいしいと思えば勝手に食べる。何より食事の時間の質を重視したいと、いつからか思うようになった。怒られながら苦手なものを食べるより、笑いながら好きなものを食べた方がメンタルに良さそうだから。食べたいタイミングが合わなければ無理に一緒に食べなくてもよい。何より楽しく食べてほしい。栄養バランスの大切さは口頭で伝え、食事のマナーには口を出す。「ちゃんと」はできそうにもないけれど、日本の良いところ・タイの良いところを私なりに取り入れて、私なりにやっていけばいいや、と思うようになったのは、きっとタイで暮らすようになったから。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら