ピックアップトラックの下に入った製造マネージャーが何をしているのか気にはなったけど、早く家に帰りたくて横目で見ながら通り過ぎた。ピックアップトラックの下で野良犬が出産したと聞いたのは翌日で、野良犬のいない国で生きてきたせいかそんなことは予想もつかなかった。 急遽段ボールとブロックで作られた犬小屋でキュウキュウ言いながらお母さんのお乳を飲む、生まれたばかりの仔犬の愛おしさと言ったら。見る人見る人の口角が上がる。三角コーンと傘で雨よけも作られていて感心したけど、それは数日後にはさらに立派な小屋になった。工場なので材料や道具や、チャーン(技術者)には事欠かない。ある物でなんでもササッと作ってしまう、タイの人たちは本当にすごい。 そしてなんとも言えない彼らの距離感。可愛がって世話をするというより、自然と面倒を見るというか。特別扱いしないあの空気。小屋を作ってほったらかしかと思えば気がついた人が残飯をお母さん犬にあげたりする。さりげなくお母さんを撫で、うまくお乳が飲めていない子を移動してあげる。かわいいねと言うと「連れて帰るか?」と聞かれ、賃貸だし無理だよと答えると「あっそう」と興味無さげ。赤ちゃんたちはあっという間に大きくなり、よちよち歩きの仔犬が敷地内を闊歩する。そうこうしているうちにあれよあれよと里親が見つかったようで、気がつくと仔犬の姿は見えなくなった。いつの間に、どうやって里親を探したんだろう。最初から最後まであまりにも自然で、私には到底できないことばかりで尊敬の念を抱いた。どうしようとか、困ったなとか、保健所に連絡しなきゃ!とか一切なくて、日本と法律が違うからと言えばそれまでかもしれないけど、とにかく私は当たり前のように受け入れてなんとなく対応する彼らにえらく感動したのでした。それから、こうして共存してる感じがとてもいいんだよね。 タイはそこらへんにたくさん犬がいる。セブンイレブンの入口付近で涼む犬たちもタイの風物詩だ。私の通勤経路や職場の周りにも犬がたくさんいる場所があって、じゃれ合ったり気持ちよさそうに寝ていたりするのを目の端で見ながら車を走らせている。彼らが寝ているのはだいたいは道の端っこだけど、たまに道路の真ん中にいたりして、そういう時心の中で「はーい!私が避けまーす!」と言いながら避けて通るのが好き。何故かはわからないけど、ついにこにこしてしまう。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら