「香水何使ってますか?」みたいに聞かれたのが本当に可笑しかった。同時に、わりと開けた空間で、この距離でもにおうんだ!と、驚いた。香水も毎日つけてると鼻がバカになるもんね。「いい匂いだなと思って」と、彼女が好意的に言ってくれてちょっと救われた。気がついたら手放せないアイテムになっていたヤードムたけど、私が使い始めたのは移住後何年か経ってからだった。時々見かける、鼻の穴にスティック型を刺したまま歩いている男性の姿が衝撃的で、かつ私はそれを「正しい使い方」だと思い込んでしまったせいだ。「鼻に刺すのは恥ずかしいからヤードムは使いたくない」と言ってタイ人の爆笑をかっさらったのも良い思い出。「入れなくていいよ!ていうか入らないよ!!」と教えてもらった。女性が使っているのも見たことはあったけど、こう、いい感じに指で隠れていることが多かったため、つまようじみたいに「手で隠して刺している」と思っていた。思い込みって怖い。鼻の穴に刺さなくて良い、と知ってから、一番メジャーなスティック型を試し、タイ人が勧めてくれたボトル型に流れ、行きついたのが先にボールがついているロールアップ型。形状も匂いも様々。用途も多い。リフレッシュに頭痛に鼻づまりに。肩や首の凝りに。そして蚊に刺された時も活躍してくれる。一粒で二、三度おいしい神アイテムだと私は思っている。バンコクに引っ越して間もない頃、満員のボートに乗っていたら乗客の女性が倒れてしまったことがある。あっ と思った瞬間周りの人たちが駆け寄り、彼女の鼻先でヤードムをくるくる回した。そのヤードムを持っていた人以外も、駆け寄りながら今まさにバッグやポケットからヤードムを取り出すところで、「おおお」となった。その後も同じような場面を見たことがあるし、自分も会社で貧血を起こし倒れたことがあるが、気がつくと床の上で毛布をかけられヤードムと果物とお菓子を供えられていた。ヤードム、本当にタイの人たちの生活に根付いている。仕事中も時々嗅ぎながら仕事をするし、会議でも大活躍。鼻から脳にスーッと届くリフレッシュ、眠気覚ましにもなってとても良い。何かをしながら当たり前のようにヤードムを嗅ぐ。ほぼ無意識の動作である。こんな風に、日本に住んでいた時は存在すら知らなかった物がいつの間にか必需品になっているのがなんだかおもしろいなと思う。これからもふと気づいた小さな事をおもしろいと感じる自分でいたいな。「ゆるぬりタイランド」全話一覧ページは↑バナーをクリック!➡「ゆるぬりタイランド」次のエピソードはこちら