バンコクのチャオプラヤー川沿い、細い路地に古い町並みが色濃く残るタラートノーイ地区。車の入れない迷路のような路地の中に、赤い門構えの中国邸宅「ソー・ヘン・タイ・マンション(So Heng Tai Mansion/蘇恒泰)」が姿を現す。近年になり入場料50バーツが徴収されるようになったけれど、これは貴重な歴史的中国邸宅を後世に残すための大切なお布施。50バーツを支払って紙のチケットをもらえば、それを敷地内のカフェスペースで50バーツ分の金券として使用することもできる。趣ある赤い木門と「泰来」「恒泰」といった文字。バンコク最古級の中国邸宅「So Heng Tai」の入口写真左のデスクでまずは50バーツの入場券を購入。最近は邸宅入口付近にお土産物屋さんなども増えた200年以上の歴史が宿る、福建様式の傑作建築この邸宅はラマ1世期(18世紀末〜19世紀初頭)に建てられ、約220〜230年の歴史を持つ。中国・福建省から身一つでシャム(タイ)へと渡ってきた華人商人の祖先が興したもので、当時盛んだったツバメの巣貿易や金融ビジネスを成功させて築いた財で、一族の拠点兼住居として築かれた。タイへ渡ってきた華人商人一族がツバメの巣貿易や金融ビジネスで成功を収めることにより、200年以上前にこのような邸宅が建てられた邸宅は中庭を取り囲むように四方に2階建ての木造棟が配置された、典型的な「四合院」形式の伝統的福建様式。当時のバンコク華人コミュニティでは潮州系が強い勢力を持っていたため、建物の名前には潮州語の響きが取り入れられた。一族の姓である「ソー(蘇)」に、潮州語で幸運や繁栄を意味する「ヘン(恒)」などを重ねた屋号となっていて、華人たちのたくましい足跡を今に伝える。木造棟2階の優美な幾何学模様の木製欄干と、歴史を感じさせる梁。ただし、絶え間ない老朽化にさらされ、繊細な意匠が損傷することもあるそうなので、迂闊に欄干にもたれかかったりするのは避けた方が良さそう貴重な建築物を後世に残すため、木造棟の2階へ上がる際には入口でまず靴を脱ぐ床板や柱には釘を一切使わない伝統工法が用いられ、上質なチーク材の温もりと、華やかな赤い壁が調和している。その反面、高度な伝統工法は補修を困難とする一面も伴う。造営から200年以上を経たソー・ヘン・タイが絶え間ない老朽化にさらされている現在、現当主は先祖から受け継いだ繊細な意匠を傷つけず、将来の安全を見据えた構造補強を両立させることを目指しているのだとか。補修された箇所に目を移すと、とりあえずその場しのぎでやったと思しき形跡もそこかしこに点在し、こういった建築の保全のむずかしさを改めて痛感する。この邸宅を守ってきた一族の先祖の肖像画が飾られた厳かな広間。その前には入場客がリラックスして座れるタイ伝統の三角クッションが配置されている中庭のダイビングプール。8代目当主の覚悟ところで、現在のソー・ヘン・タイは門をくぐって中庭に入った瞬間、誰もが目を丸くする光景が広がっている。なんと歴史ある古建築のど真ん中に突如として深いダイビング用プールが現れるのだ。中庭に広がるエメラルドグリーンのプールと邸宅の全景。写真奥に見えるのが入口の門。まさにソー・ヘン・タイに入場した瞬間、真っ先に視界に入るのがこのプールなのだプールサイドに上がることはできるものの、ここはダイビング用プール。一般入場者がスイミングプールとして利用できるわけではないこれは8代目現当主であるプーンサック・ポーサヤチンダー(Poosak Posayachinda)氏が2004年に自ら中庭を改修して造った水深4メートルの本格ダイビングプール。ダイビングインストラクターの資格を持つ当主が、ここでダイビング教室を開講している(※興味のある方は当記事下欄に記したFacebookページでご確認を!)。法的な保護も公的支援も乏しいタイで、歴史的建造物を個人の手で維持し続けるのは至難の業なのだとか。年間数百万円にも上る補修・修繕費を捻出し、建物を壊さず維持する費用を稼ぐことが現当主の思惑だったと言う。ダイビング用のプールなので水深は4メートルもあり、伝統的な中国邸宅の中庭で妙な存在感を放っている50バーツのお布施を持って、この建築に会いに行こう現在、ソー・ヘン・タイは一般の旅行者にも開放されていて、2階の回廊で冷たいドリンクを飲みながら一息つけるカフェスペースなども用意されている。入場時には50バーツの料金が必要だけど、これはそのままカフェでのドリンク代から差し引かれるシステムになっている。ドリンクの注文カウンターは敷地の奥、棟の一階に呼び出し鈴が設置されている。注文後ドリンクの用意が出来たらスタッフさんに呼ばれるので、カウンターに戻って受け取る。棟2階のカフェスペースで待っていても持ってきてもらえるわけではない。たとえば、PLUM HONEY SODA(105バーツ)を注文した場合、50バーツの入場券をカウンターで提示した後、差額の55バーツを支払うことになる涼しげなソーダを片手に回廊でくつろぐひとコマ。ほったらかしにしておいてもらえることが、意外と心地よかったりもする2階の回廊から中庭のプールをただぼんやり眺める。ダイビング用プールはやっぱり深いなぁなどと、どうでもいいひとり言が漏れるこの50バーツは、単なるドリンク代ではなく、「バンコクの貴重な歴史的建築を後世に残すためのお布施」と考えよう。タラートノーイの散策ルートにこの邸宅を組み込み、冷たいドリンクを味わいながら、200年の時間とそれを守り続ける一族の情熱に想いを馳せてみる。そんな時間があってもいいような気がする。先祖がタイでのビジネスで大成功を収めて羨ましい! と思う方も多いかもしれないけど、この建築を維持するための苦労はご本人にしかわからない。将来の安全を見据えた構造補強を達成するまでの道のりはなかなか険しそう。ところで、ソー・ヘン・タイはここにたどり着くまでの道もなかなか険しい。近年は道がきれいに舗装されて足元は安全になったけれど、上写真のように迷路のような細い路地を何度も曲がってやっと到着。実はこの迷宮のような感覚が楽しかったりもする。詳しくは下欄の地図で!ソー・ヘン・タイ・マンション(So Heng Tai Mansion/蘇恒泰)282 Soi Wanit 2, Talat Noi, Samphanthawong, Bangkok 10100最寄り駅は、地下鉄フアランポーン(Hua Lamphong)駅OPEN: 9:00-18:00 Closed on Monhttps://www.facebook.com/Sohengtai/※ダイビング教室に興味のある方はこのFacebookページでご確認を!%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d3875.776408284916!2d100.51017630035663!3d13.73198248933051!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x30e298df3a10d4b9%253A0x80e581270e92a2e9!2z44K944O8IOODmOODsyDjgr_jgqQg44Oe44Oz44K344On44Oz!5e0!3m2!1sja!2sjp!4v1789171682096!5m2!1sja!2sjp%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%3E%3C%2Fiframe%3Eバンコク旧市街特集ページは↑バナーをクリック!