東北部、南部、中華系、海鮮――。タイ料理なら何でも揃うサボイレストランのメニューから、今月はカニのカレー炒め、マサマンカレー(แกงมัสมั่น)をご紹介。【PR】本記事末尾にお得なプロモーション情報が案内されています。マサマンカレー【แกงมัสมั่น】ココナッツミルクのまろやかなコクと、クミンやコリアンダーシード、シナモン、クローブなど、幾重にも重なる香辛料の豊かな香りが特徴の「マサマンカレー」。現在では鶏肉や牛肉をジャガイモ、タマネギ、ピーナッツなどとともにじっくり煮込み、タマリンドの酸味を加えて仕上げる、タイを代表するカレー料理のひとつです。CNN Travelの「世界の料理50選」では第1位に選ばれ、世界的にもその名を知られる料理となりました。マサマンカレーの起源と歴史|ペルシャ・インド・マレーを結ぶ交易の交差点(AI生成されたイメージ画像)これほど知られるようになったマサマンですが、そのルーツをたどると、いくつもの文化が交差する複雑な歴史が見えてきます。ペルシャやインド、マレー半島などイスラム文化圏とのつながりが指摘され、その背景には、インド洋交易と、さまざまな文化が交わった国際都市アユタヤの歴史があります。「マサマン」という名についても、イスラム教徒を意味する「ムスリム」「ムスリマン」などに由来するという説のほか、ペルシャの煮込み料理「モサンマ(Mosamma)」との関連を指摘する説があります。17世紀のアユタヤには、インドやペルシャなどから多くのムスリム商人が訪れ、独自のコミュニティを形成していました。なかでもペルシャ系の人々は宮廷にも影響を与えていたようで、17世紀後半にアユタヤを訪れたペルシャ使節の記録には、ナーラーイ王の料理や飲み物、服装などの嗜好に、アユタヤに暮らすペルシャ系の人々が強い影響を与えていたことが記されています。こうしたペルシャ系ムスリムの存在を語るうえで重要な人物が、17世紀初頭にアユタヤへ渡ったシェイク・アフマド・クーミーです。交易に携わったのち宮廷で重要な役職を担った彼とその一族は、アユタヤ社会に根づいたペルシャ系ムスリムを象徴する存在となりました。この歴史を背景に、マサマンをペルシャ系ムスリムの食文化と結びつける説があります。ただし、彼自身がこの料理を伝えたことを示す史料は確認されていません。一方、インドのムガル宮廷料理にルーツを求める説や、インド系ムスリムの料理からの影響を指摘する説もあります。さらにタイ南部ではマレー料理とのつながりも語られており、マサマンの起源を一つの国や料理だけに求めることはとても難しいのです。 王の詩文と近代料理書にみるマサマン|19世紀のレシピと異文化の味(AI生成されたイメージ画像)マサマンがタイで食べられていたことを示す古い記録として有名なのが、文人としても名高いラーマ2世(在位1809~1824年)の御製『ガープ・へー・チョム・クルアン・カーオ・ワーン(กาพย์เห่ชมเครื่องคาวหวาน)』です。そこではクミン香るマサマンを、「これを口にした男なら恋い焦がれるようにまた求めてしまう」とその味わいを恋心になぞらえて詠んでいます。同作品内では他にも「鶏肉のマサマン」と記されており、19世紀初頭にはすでにマサマンが知られ、クミンの香りがその特徴として認識されていたことが分かります。さらに具体的な姿を伝えてくれるのが、1890年に1,000部刊行された、「モム・ソムジーン・ラーチャーヌプラパン(หม่อมซ่มจีน ราชานุประพันธ์)」による料理書『タムラー・ガップカオ(ตำรากับเข้า)』です。ここには「ゲーン・マーチャメーン(แกงมาชะแมน)」として、マサマンの詳しい作り方が記されています。貴重な料理書『タムラー・ガップカオ(ตำรากับเข้า)』の表紙具材は鶏肉、七面鳥を筆頭に牛、うさぎ、ヤギ、羊さらには淡水魚などのバリエーションがあります。基本的には肉類を大きく切って油脂で揚げておき、乾燥唐辛子、クミン、コリアンダーシード、レモングラス、赤玉ねぎ、胡椒などを香りが立つまで炒って細かく搗き、濃いココナッツミルクとともに煮詰め、油が分離するまで火を入れます。そこへ揚げておいた肉を加え、生姜、クローブ、シナモン、砂糖、焼いた赤玉ねぎなどを加えます。酸味にはビターオレンジの一種「ソムサー(ส้มซ่า)」の果汁を使い、それは「タマリンドより良い」とわざわざ記されているのも興味深いところです。また、茹でたアーモンドや炒った落花生を加え、コクを増すこともあったとされています。さらに著者は、甘酸っぱく喉越しのよい味を当時のイスラム文化圏の人々が好む味だと説明し、アーモンドや落花生を加えることについては必須ではないとしたうえで、「シャム人でこれを好む者は少ないようだ」と記しています。マサマンが異文化料理として認識されていたことがうかがえる記述です。一方、1908年に刊行されたタイ最古の一般向け料理書として知られる『メークルア・ホアパー(แม่ครัวหัวป่าก์)』にも、マサマンのレシピが収録されています。こちらでは酸味のベースにタマリンドを使い、仕上げにソムサーの果汁を加えるという違いが見られます。 ジャガイモはいつから入ったのか?|古典レシピの不在とムスリムの伝承(AI生成されたイメージ画像)そして、この二つのレシピを比べてもうひとつ興味深いのが、現在では定番の具材とされるジャガイモがどちらにも登場しないことです。『メークルア・ホアパー』では別のカレーのレシピに「ジャガイモ、またはクズイモを使う」と明記されているため、その当時ジャガイモという食材が知られていなかったわけでもありませんが、少なくとも19世紀末から20世紀初頭に残されたこの二つのレシピでは、ジャガイモはマサマンの材料ではなかったことが分かります。ところが、バンコク・トンブリーのクローン・バーン・ルワンに暮らすムスリム・コミュニティには、異なる伝統が残されています。この地には、ソンクラーやアユタヤから移り住んだムスリムの人々が定住し、200年以上にわたってその文化を受け継いできました。このコミュニティでは、マサマンは日常の料理というよりも、宗教行事などで作られる特別な料理として受け継がれてきました。そして、ここに伝わるマサマンについては「伝統的なレシピにはジャガイモを使う」とされています。しかも、かつてジャガイモは土地在来の芋ではなく、一般の市場では手に入りにくかったため、それ自体が特別な食材だったと伝えられています。一方、タイ南部には、ジャガイモが広く栽培される以前にはサツマイモを使っていたという伝承もあります。では、マサマンにはいつからジャガイモが使われるようになったのでしょうか? その時期を明確に示す史料は現在のところ確認できていません。しかし、1890年と1908年の料理書にはジャガイモが登場しない一方、200年以上続くムスリム・コミュニティでは、ジャガイモが「伝統的な材料」として認識されています。長く料理が受け継がれる過程で、かつて希少だったジャガイモが特別なマサマンの具材として取り入れられ、それがやがてコミュニティの「伝統」となり、さらに現在ではマサマンを代表する具材のひとつとして広く定着していった可能性も考えられます。 タイの食文化と融合したマサマン|豚脂の使用と独自の進化さらに先述の『タムラー・ガップカオ』では、肉を揚げる油脂としてバターオイルのほか、豚の油を使ってもよいとされています。イスラム文化との関係が指摘される料理でありながら、19世紀末のタイの料理書には、イスラムの食規範とは異なる作り方も記録されていたのです。海外から伝わった食文化がそのまま保存されたのではなく、タイの食材や嗜好、調理法と交わりながら変化していったことを考えるうえでも、興味深い記述です。マサマンの起源を一つの場所や一つの料理に定めることはできません。しかし、ペルシャやインド、マレーとのつながり、国際都市アユタヤに暮らしたムスリムたちの歴史、ラーマ2世が詩に詠んだ香り、19世紀末から20世紀初頭の料理書に残された作り方、そして200年以上の歴史を持つムスリム・コミュニティに受け継がれてきた食文化をたどると、異なる土地からもたらされた味や香りがタイの味覚や調理法と交わり、地域や時代によって姿を変えながら、現在のマサマンへと育ってきた歴史が浮かび上がってきます。遠くペルシャ、インド、マレーに起源を持ち、200年以上もの長きにわたりタイのムスリム・コミュニティの間で受け継がれてきたマサマンカレー。現在の姿にたどり着くまでの歴史に思いを馳せながら、この特別な一杯をご賞味あれ(写真はサボイレストランのマサマンカレー)【プロモーション情報】サボイ × チャオプラヤー・タイムズの特別割引(お食事代10% Off)実施中!①サボイ公式ライン「Savoey Restaurant」に登録。②登録後「Chaophraya」とメッセージを送ると、サボイでのお食事代が10% Off(4店舗全店で利用可)になるメッセージが返信されます。③サボイでのお食事代清算前に②で送られてきたメッセージを店員に提示してください。※上記割引は1,000バーツ以上のお食事代にのみ適用されます。※ドリンク、アルコール代は割引対象外です。サボイはバンコク都内に4店舗!スクンビット26(下地図)、アソーク「ターミナル21」5F、チットロム「マーキュリーヴィレ」2F、王宮エリアの川沿い「ターマハーラート」%3Ciframe%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.google.com%2Fmaps%2Fembed%3Fpb%3D!1m18!1m12!1m3!1d3875.97083440057!2d100.56549217555093!3d13.720215598023103!2m3!1f0!2f0!3f0!3m2!1i1024!2i768!4f13.1!3m3!1m2!1s0x30e29f05c5f6c077%253A0x91d644a8c6d0ab4b!2z44K144Oc44KkIOODrOOCueODiOODqeODsw!5e0!3m2!1sja!2sth!4v1745920448707!5m2!1sja!2sth%22%20width%3D%22600%22%20height%3D%22450%22%20style%3D%22border%3A0%3B%22%20allowfullscreen%3D%22%22%20loading%3D%22lazy%22%20referrerpolicy%3D%22no-referrer-when-downgrade%22%3E%3C%2Fiframe%3Eサボイシーフード・チットロム店新装オープン記事は↑バナーをクリック!